GONT-PRESS TOP ゴントの書類綴
<<DTP担当新刊『「懐かしドラマ」が教えてくれるシナリオの書き方』(彩流社)    PHS音声通話定額制、トランシーバーか? ラジオか?>>
Category Contents
日々のFLAG [274 items]
本とある日 [40 items]
仕事−DTP/WEB [28 items]
ランニング・登山 [74 items]
Tips [58 items]
URLメモ [19 items]
断 想 [12 items]
現代近未来視聴覚研究 [14 items]
アフォリズム [4 items]
9-お絵かき [12 items]
Recent Entries
ブログ引っ越し中
本づくりを手伝う
荒川市民マラソンに出た
春なので新しいことをやる
単独登攀
Adobe Digital Editions Beta3 - 本を運ぶ赤い黒船
ジブリ「崖の上のポニョ」、二度と……
GONT?

[PROFILE]



[MY WORKS]
Search


Archives
2007年04月
2007年03月
2007年02月
2007年01月
2006年12月
2006年11月
2006年10月
2006年09月
2006年08月
2006年07月
2006年06月
2006年05月
2006年04月
2006年03月
2006年02月
2006年01月
2005年12月
2005年11月
2005年10月
2005年08月
2005年07月
2005年06月
2005年05月
2005年04月
2005年03月
2005年02月
2005年01月
2004年12月
2004年11月
2004年10月
2004年09月
2004年08月
2004年07月
2004年06月
2004年05月
2004年04月
2004年03月
Syndicate this site (XML)
Powered by
Movable Type 2.66

2005年02月25日

あなた自身の社会なんだから

[ 1-本とある日 ]

『あなた自身の社会−スウェーデンの中学教科書』

(アーネ・リンドクウィスト+ヤン・ウェステル著/川上邦夫 訳/新評論/1997年6月10日/2310円 /ISBN4-7948-0291-9/A5判並製 /228ページ)

 bk1だと取扱できないってさ、ひどい話しだね>bk1

 店頭売り切れ→注文殺到→在庫ゼロ→増刷! 景気のいい話しだ、しかも、人文関係の本なのだった。

 皇太子の誕生日会見で、子どもの養育方針について答えた時に紹介した本。アメリカの家庭教育学者ドロシー・ロー・ホルト(ノルト)の詩「子ども」が掲載されている。新聞やテレビでも紹介されたので、あっという間に売り切れになったらしい。皇太子の会見内容の全文を読むと、お世継ぎの問いに関して、うまくはぐらかしたな、と思うと同時に、未来に不安持ってるのかな、という気もしたのだった。世を継がせる、といっても、とんでもない世の中じゃ困るわけで。昨今の子ども絡みの事件を見れば、子どものうちから「社会」についてきちんと教えておくべきだし、それをしないでいると大変な未来がやってくる(社会を維持するために誰も税金払わないような社会)と思いましたよ、ええ。もっと自分自身/あなた自身の身になって社会を考えてください、と言われているような気もしますね。
 そして、この本が売れるというのは、子育てに悩む親がものすごく多いということなのだ……女帝問題とか、そういう話しでこの本が売れたわけじゃない、子どもをどう育てたらいいか、社会に向き合う人間をどう育てるか、高尚で難解なことじゃなくて、実用ことわざレベル(つまり、「魔法の言葉」レベル)で欲しているんだな、と思うのだった。

『子どもが育つ魔法の言葉』

(ドロシー・ロー ノルト+レイチャル ハリス著/石井 千春訳/PHP文庫)

 ところが、です。子育て実用本はそのままでは売れない、読む人はあくまで大人であり、親。親が安心したい、大人自身と社会との関係について考えてみる、という本が必要なわけで、単なるハウツーだと売れなかったりすると思うわけです。さじ加減が難しい。。
 で、さらに……皇太子の発言で最初に『あなた自身の社会』を買おうと思ったのは、実際に小さな子どものいる親じゃないかもしれない。小さい子どものいる親は、そんな情報に接している時間ないし、じっくり本なんて読んでられないだろうし。ちょっと複雑だな……

 日本で「生きること」は、いつも「自分がどのように生きるか」という視点で語られる。一方「自分は複数の他人をどのように生かしているのか、どのように生かされているのか」「自分を生かすために社会に何を要求できるか、何を要求されるのか、何を変えることができるか」について最初から失念している(させられている)し、誰も語らない。変わらない環境でのゼロサム・サバイバルゲーム「自分はどのように生きるか」(=自分だけが利益を手にして生き残るには?)という問いのみが突きつけられている。デフォルトでそのようなパラメータしか与えられていないゲーマーは、貯めた得点を握りしめて安らかに眠るが、そのベッドが牢獄におかれていて、灰色の虚無・無力・無責任の壁や天井に囲まれているのを知らない。環境を作っているのは自分たちなのだ、自分たちによってよりよく変えていくことができる、という意識があればこそ、その環境を愛することができる、牢獄そのものを作り替えることができると思う。つまり、あなた自身の社会ならばこそ変えられる、そう思うね。。

Posted by gont at 2005年02月25日 11:24 | TrackBack