Category Archives: 電子書籍出版メモ

ビジネス書最優秀賞はセラノスの詐欺を克明に追った『Bad Blood』に

 11月13日、ファイナンシャル・タイムズ紙とマッキンゼーが選ぶ今年の最優秀ビジネス書に、ウォール・ストリート・ジャーナルの記者であるジョン・キャリルーの『Bad Blood』が選ばれた。  このノンフィクションは、2003年、当時19歳で医療ITスタートアップを立ち上げたエリザベス・ホームズや他のスタッフの経歴を子細に調べた1冊。指先の1滴の血からどんな疾病でも発見できると豪語し、かき集めた資金 [...]

全米図書賞フィクション部門はシグリッド・ニュネズの『The Friend』、翻訳賞は多和田葉子に

 11月14日夜(現地時間)、米National Book Award(全米図書賞)が発表され、今年から再設された翻訳作品部門賞に多和田葉子の『遣灯使』が選ばれた。  フィクション部門では、幼馴染みが自殺した後その飼い犬をひきとり悲しみを分かち合う女性を描いたシグリッド・ヌニェズの『The Friend』(日本語未訳)、ノンフィクション部門ではハーレムのルネッサンスを牽引したアラン・ロックのバイオ [...]

アマゾンの新本社ビルはニューヨークとバージニアに決定

 アマゾンが14カ月をかけ、全米中で候補地を探していた第2の本社ビルは、5万人もの高給の理系技術者の雇用が見込めることもあり、全米の都市が獲得競争に動いていたが、11月13日(米国時間)にニューヨーク州のロングアイランドシティと、バージニア州の郊外アーリントンに決定した、と複数のメディアが報じた。  この2箇所の他にもテネシー州ナッシュビルに5000人規模のロジスティックスセンターを建設する予定で [...]

電子図書館「青空文庫」を支援する「本の未来基金」が著作権の保護期間延長への考えを公表 ~ 「責任を追及するより、私たちと共に未来への責任を果たして頂きたいと願います」

 だれもが自由に利用できる電子図書館「青空文庫」の活動を資金面で支援する「本の未来基金」は11月12日、著作権保護期間延長に関する考えを公表した。経緯について抗議をしつつも、責任を追及するより、ともに未来への責任を果たしていこうと呼びかけている。  この声明は、政府が10月30日に、TPP11が6カ国目の批准を得たことにより12月30日に発効することが確定した、と発表したのを受けてのもの。2016 [...]

プラットフォームは果たして何を寡占しているのか? ~握られる5つのリソース~

 本稿は、クリエイティブ・コモンズ 表示-非営利-改変禁止 4.0国際(CC BY-NC-ND 4.0)ライセンスに基づき、骨董通り法律事務所 for the Arts 弁護士 福井健策氏のコラムを転載しています。 プラットフォーム寡占の影響とその歯止めをめぐる議論が熱い。意欲的な有識者会議の中間整理に合わせて読売新聞は連載「岐路 巨大IT」を開始し(6日~)、第1回では筆者もコメントした。取材の [...]

著作権の保護と制限の規定がもうすぐ変わる ~ 保護期間延長、非親告罪化、柔軟な権利制限、教育の情報化対応など、まとめて解説

 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11)が発効することにより、「保護期間の延長」「一部非親告罪化」などの権利保護強化を伴う改正著作権法が、12月30日に施行されます。また、今年の5月に成立した改正著作権法には、「柔軟な権利制限規定」「教育の情報化対応」「障害者対応」「アーカイブ利活用」などの権利制限規定が盛り込まれており、一部を除き2019年1月1日に施行されます。本 [...]

発売前の本の“ゲラ”が読める「NetGalley」から新着作品の紹介(2018年11月12日号) #NetGalleyJP

 発売前の本の“ゲラ”を読んでレビューが投稿できるサービス「NetGalley」(ネットギャリー)の新着作品を紹介いたします。情報提供は株式会社出版デジタル機構です。書誌情報や表紙は本稿執筆時点のものであり、刊行時には変更されている可能性がありますのであらかじめご了承ください。 これから刊行される予定の本 世界の端から、歩き出す(富良野馨/ポプラ社) 内容紹介 京都での出会いが起こした 小さな、確 [...]

DRMフリーEPUBやPDFの閲覧にも対応した「ConTenDoビューア」Mac版が無料公開 ~ 電書協 EPUB 3 制作ガイドに準拠

 電子書店「ConTenDo(コンテン堂)」を運営するアイプレスジャパン株式会社は11月8日、Mac版「ConTenDoビューア」の無料公開・配布を開始した。基本はConTenDo用のビューアアプリだが、DRMフリーのEPUBやPDFの表示・閲覧にも対応している。  ConTenDoビューア for Mac(Ver 1.5.0)は、macOS X 10.11 El Capitan 以降に対応。一般 [...]

機械学習と推薦アルゴリズムによる汎用レコメンドAPI「recopi」β版提供開始 ~ BookLiveと白ヤギコーポレーションの共同開発

 株式会社BookLiveと株式会社白ヤギコーポレーションは11月6日、両社が共同開発した、機械学習と推薦アルゴリズムによる汎用レコメンドAPI「recopi」β版の提供開始を発表した。同時に、トライアル企業の募集も開始している。  「recopi」は「レコメンドを手軽に、何にでも、即導入」をコンセプトに開発された、汎用的なレコメンドAPI(Application Programming Inte [...]

バーンズ&ノーブルを買収しようとしたのはイギリスのWHスミスか?

 前CEOが解雇を不服としてバーンズ&ノーブルを訴えた際に提出された訴状から、今春に話がまとまりつつあった身売り先はイギリスの書籍チェーン店、WHスミスだったことが判明したとウォール・ストリート・ジャーナルが伝えている。  メディアからの問い合わせにバーンズ&ノーブルもWHスミスもノーコメントを通しているが、前CEOのデモス・パーネロが今夏にクビになった際、6月ごろに、とあるbook retail [...]

ヤフーの膨大なデータをフル活用し、ユーザーの嗜好やTPOに合わせたレコメンドを ~ 電子書店「ebookjapan」全面リニューアルの狙い

 株式会社イーブックイニシアティブジャパンは10月1日、電子書店「eBookJapan」を全面リニューアルした。従来の ebookjapan.jp ドメインから yahoo.co.jp のサブドメインに変わり、ヤフー株式会社との共同運営になるという大改革だ。この狙いはどこにあるのか? 既存サイトはいつまで運用されるのか? 規約はどうなるのか? などの気になる点を、代表取締役社長 小出斉氏にぶつけた [...]

バーンズ&ノーブルが年末商戦に向けて新しいタブレットを発売

 CEO不在や前CEOの訴訟などでその将来について様々な憶測が飛んでいる米最大手書店チェーンのバーンズ&ノーブルだが、年末のクリスマス商戦に向けて新しいNookタブレットを発表した。  新しいNookは、スクリーンサイズが10.1インチとこれまで最大で、カメラ機能付き。アクセサリーとして、キーボードやドッキングステーションが付けられる。ストレージ容量は32GB。価格は129.99ドル(初期プロモー [...]

海賊版サイトと正規版サイトがだれでも判別できる「ABJマーク」の使用申請が受付中 〜 正式運用開始は11月30日から

 海賊版サイトと正規版サイトがだれでも簡単に判別できる「ABJマーク(ホワイトマーク)」の使用申請受付が、一般社団法人電子出版制作・流通協議会(以下、電流協)のサイトで始まった。すでに説明会も数回開催されている。正式運用の開始予定は11月30日から。  ABJマークは、電子出版物の配信事業者に対し、ユーザーが「ここは適法なサービスである」と簡単に識別できるような標識を提供することにより、健全なコン [...]

Haruki Murakami to donate personal archives (and jazz records?) to Waseda

Appearing at a press conference for the first time in 37 years (by his own account), the reclusive author Haruki Murakami announced on Nov. 4 that he will donate his personal archive to Waseda Univers [...]

発売前の本の“ゲラ”が読める「NetGalley」から新着作品の紹介(2018年11月5日号) #NetGalleyJP

 発売前の本の“ゲラ”を読んでレビューが投稿できるサービス「NetGalley」(ネットギャリー)の新着作品を紹介いたします。情報提供は株式会社出版デジタル機構です。書誌情報や表紙は本稿執筆時点のものであり、刊行時には変更されている可能性がありますのであらかじめご了承ください。 これから刊行される予定の本 夜汐(東山彰良/KADOKAWA) 内容紹介 おれの命は、おまえのもんだ。直木賞作家が挑む、 [...]

#MeToo ムーブメントはアメリカの文芸誌をどう変えたか

 この1年で全米に吹き荒れた反セクハラの#MeToo運動によってアメリカの文芸誌のmasthead(発行人欄)がどう入れ替わったかをAP通信が報じている。事例としては以下が挙げられている。 「パリス・レビュー」誌のロリン・スタイン編集長がセクハラの疑いの中、辞任。 書評誌「ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス」のイアン・バルーマ編集長が、セクハラや暴行の嫌疑で仕事を干されていたカナダのアナウンサ [...]

米ビッグ5に挑戦するインディペンデント出版社

 2015年にスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチがノーベル文学賞を受賞したとき、『セカンドハンドの時代』の英語翻訳権を握っていたのはイギリスのインディペンデント出版社であるフィッツカラルド・エディションズで、その後北米での英語版権をランダムハウスに多額で売ることで潤った。このように、大手の目が行き届かない才能を見極める目利きとして、インディペンデント出版社の力が注目されているとウォール・ストリート [...]

教養新書の作り方と、カッパ・ブックスの作り方 ~ 本の学校 出版産業シンポジウムレポート

 NPO法人本の学校は10月28日、専修大学神田キャンパスにて「本の学校 出版産業シンポジウム 2018 in 東京」を開催した。本稿では、第2分科会「新書編集の現在、過去、未来」をレポートする。パネリストは、田中正敏氏(株式会社中央公論新社 書籍局 中公新書編集部部長)と、菊地悟氏(株式会社KADOKAWA 文芸局 角川新書編集長代理)。   そもそも新書とは?  新書のいちばん大きな特徴は、判 [...]

海賊版サイトに特効薬はなく、さまざまな対策の継続が必要だ

 本稿は「出版ニュース」2018年9月上旬号へ寄稿した原稿の転載です。転載にあたって少しタイトルを変えてあります。以下、縦書き原稿を横書きに変換してあるのと改行を少し増やしてありますが、文体は掲載時のまま(常体)です。  筆者は本誌5月上旬号で、出版広報センターが4月13日に発表(※1)した「政府による海賊版サイトに対する緊急対策について」という声明の中で、「私たちは長年、海賊版サイトに対してでき [...]

著しく短縮して語る著作権延長問題の歴史と、これからどうなり、何をしていくのか

 本稿は、クリエイティブ・コモンズ 表示-非営利-改変禁止 4.0国際(CC BY-NC-ND 4.0)ライセンスに基づき、骨董通り法律事務所 for the Arts 弁護士 福井健策氏のコラムを転載しています。 驚くほど淡々と、最後の60日間は始まった。 複数報道されましたね。前回報道より早まり、12/30をもって2016年の改正著作権法も施行され、日本の著作権は「死後70年」に、侵害は非親告 [...]

ボランティアのバケツリレーでイギリスの本屋さんの引越しが完了

 イギリス南部サザンプトンにある小さな本屋さんが呼びかけたボランティアに応じた地元の人々が蔵書を次々に手渡して引越しを済ませた、と複数のメディアが報じる微笑ましいニュースがあった  商店街の一角で40年前に開店したこの本屋さんは、地元の“ラジカル”な人々の憩いの場となっていたが、店賃が高騰したため昨年暮れに引越しを決めた。ちょうど傍にあった元銀行の建物が空いたのをきっかけに地元の支援を受けて半年間 [...]

ボイジャー、個人作家を応援する電子書店「理想書店」をオープン ~ BinBストアとRomancer Storeを統合

 株式会社ボイジャーは11月1日、個人作家の電子書籍を中心に取り扱う電子書店「理想書店」をオープンした。これは、同社が2012年から運営してきた電子書店「BinB store」と、デジタル出版支援サービス「Romancer」から生まれた作品を販売する「Romancer Store」を統合したもの。  ユーザーがこれまでBinBストア・Romancer Storeで購入した作品は、統合された理想書店 [...]

米ペンギン・ランダムハウスが片手で読める新しいフォーマットを実験

 米出版社最大手のペンギン・ランダムハウス傘下のインプリントであるダットンがベストセラー作家ジョン・グリーンの作品をボックスセットにしたミニ・ブックスの第1弾を発売したとニューヨーク・タイムズ紙が伝えた。  ダットンのYA部門の会長兼発行人のジュリー・ストラウス=ゲーブルは、オランダで人気のあるdwarsliggersと呼ばれる縦型のフォーマットを見た途端ピンと来て、アメリカでもどうやったら作れる [...]

グーグル・ホームが家庭で絵本読み聞かせのお手伝い

 アメリカや他の英語圏で子どもに読み聞かせる絵本のロングセラーシリーズとなっている「リトル・ゴールデン・ブックス」のいくつかを家庭で読むと、グーグルのスマートスピーカー、グーグル・ホームが効果音や音楽を奏でる機能が付く。  該当タイトルには「モアナと伝説の海」「トイ・ストーリー3」などディズニー映画提携本や、「ピーターパン」「不思議の国のアリス」「3匹の子ブタ」などの古典的作品も含まれており、クリ [...]

電子図書館サービス導入数は78館81自治体に 〜 電流協『電子図書館・電子書籍貸出サービス調査報告2018』

 一般社団法人電子出版制作・流通協議会(以下、電流協)は10月29日、公共図書館の電子図書館サービス利用状況に関する調査レポートの最新版『電子図書館・電子書籍貸出サービス調査報告2018』を11月10日に発行することを発表した。今回のアンケート調査によると、電子図書館サービスを導入している公共図書館は昨年の調査から17館増え、78館81自治体。図書館を持つ自治体比の導入率は5.9%となった。  こ [...]

第20回図書館総合展が開催 〜 展示会場フォトレポート

 図書館総合展運営委員会は10月30日から11月1日まで、パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で「第20回図書館総合展」を開催している。企画・運営は株式会社カルチャー・ジャパン(JCC)。本稿では展示会の様子を電子図書館関係を中心に写真でレポートする。 参考リンク 図書館総合展公式サイト https://www.libraryfair.jp/

アマゾンがインドで英語以外の公用語5種をKDPに追加

 このところインド市場への投資に力を入れているアマゾンだが、セルフ・パブリッシング・プラットフォームのキンドル・ダイレクト・パブリッシング(KDP)に、連邦用語であるヒンディー語に加えて、グジャラート語、マラヤーラム語、マラーティー語、タミル語でのサービスが始まったとフォーブス誌が伝えている。  2G回線の利用者が何百万人もいるインドで、アマゾンは今年に入って「Kindle Lite」という2Gで [...]

発売前の本の“ゲラ”が読める「NetGalley」から新着作品の紹介(2018年10月29日号) #NetGalleyJP

 発売前の本の“ゲラ”を読んでレビューが投稿できるサービス「NetGalley」(ネットギャリー)の新着作品を紹介いたします。情報提供は株式会社出版デジタル機構です。書誌情報や表紙は本稿執筆時点のものであり、刊行時には変更されている可能性がありますのであらかじめご了承ください。 これから刊行される予定の本 隣の席の佐藤さん(森崎緩/一二三書房) 内容紹介 実写PVがYouTubeにて公開中の第6回 [...]

ベネッセ教育総合研究所が「電子図書館まなびライブラリー」の利用データをもとに調査 ~ 読書量の多い子供ほど学力が向上

 株式会社ベネッセコーポレーションの社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所は10月26日、同社の進研ゼミ会員が自由に使える電子書籍貸出サービス「電子図書館まなびライブラリー」の利用データやアンケート調査などをもとに、読書が子供の学力や学びの姿勢にどのような影響を与えているかの変化を追跡する調査研究を発表した。調査は1年4カ月にわたって行われ、その間の読書量が多い子供ほど学力が向上していること [...]

コソボ紛争戦犯の著書を発表したセルビア防衛省に非難

 コソボ紛争の指揮官として国連裁判所において起訴され有罪判決を受けた2人の元将軍の回想録を出版し、宣伝したとして、セルビア政府自衛省が民権団体から批判されているとAP通信が報じた。  バルカン半島を中心に異なる民族の若者の交流を支援する非営利団体、Youth Initiative for Human Rights(以下YIHR)は、アナ・ブルナビッチ首相に宛てた公開文書の中で、セルビア防衛省がこの [...]