GONT-PRESS_Climb&RUNTOP |
[ 2-ランニング日誌 ] |
寝坊してしまいスタートに間に合うかどうかが最大の勝負だった?
ハーフマラソン 1:38:49
起きると7時過ぎてるじゃないですか、完全に寝坊してしまった。焦りまくる。昨日、少し特殊燃料を補給しすぎたのが原因。近場の所沢(西武ドーム)とはいえ、受付は8時まで、スタートは8時45分。まだ特殊燃料が糖に分解できていないが、仕方がない。ともかく駅までの自転車は飛ばしに飛ばす。電車に間に合わなければアウトだ。なんとか間にあって改札を通ると息が上がっている、それに喉が乾く。脱水状態だと悟り、駅の構内で500mlのスポーツドリンクを買って飲み干す。それでも足りずに、もう1本買い足す。
走る会の集合時間は球場前駅改札に7時半だったが間に合わなかった(すいませんm(__)m)。走り終わるまでは別行動になってしまった。ともあれ、受付には間にあった。ほっとしながらドームの外野席に移動する。準備開始。
今年は寒い。5℃ぐらいか。昨年は15℃あった(昨年の記録証ハガキに書いてある)。駅までの自転車でウォームアップはできているような気もするが、まだ頭は眠っているし、特殊燃料はまだ走るエネルギーとなる糖に分解できていない。これはマズイと思い、さらに水を飲む。トイレにも行く。貴重品や着替えをロッカーに入れて準備を済ませ、球場内の人工芝の上をウォームアップで早めに走ってみる。イマイチというかニというか……なんとも言えないコンディションだ。
せめて昨年よりも早く走りたいが、無理をして死にたくはない。特殊燃料のおかげで脳卒中や心臓麻痺で倒れるのは馬鹿げている。なので、身体の調子を整えながら進む、前半の給水所で水をしっかりと飲み、途中で無理ならのんびり完走ペースにする、アップダウンの多いコースの最高標高地点まで来て、下りで加速できそうならがんばってタイム短縮を狙う、ダメならば無理をせずがんばらない……などという「なんだ、結局いつもの走り方と変わらないや」作戦が立案された。
ダメだなぁ、まいったなぁ、寒いなぁ、と思っているうちに、スタート時間が来てしまった。電光掲示板でカウントダウン映像が流れる。ありゃ、もう走るのか? こうなればもう走るしかない。ドーム球場から出て下っていく坂道では、しばらくは流れに乗って走る。これですぐに息が上がってしまうようなら無理だったが、なんとか流れに乗っている。ややペースダウンして、スタート時の飛び出しの流れから落ちる。その後はしばらく身体の調子を探りながら行く。
筋肉が先に悲鳴を上げるか、呼吸が苦しくて酸欠状態になるか、それとも心臓バクバクで無理になるか? 腹が痛くなったり脚が痛くなってくるか? チェックする項目が多い。身体のさまざまな箇所にセンサーをつけて、アラートが出ていないか調べているような感じだ。結果、自分のペースで走っている限りは大丈夫そうだった。少しほっとする、リタイヤはしなくて済みそうだ。ただし、このペースでは昨年のタイムを上まわることはできない。どうしようかと迷いつつ、5kmを過ぎ、8kmの給水所で水をしっかり飲む(相変わらず咳き込む)。白髪のベテランランナーが調子よく抜いていった。いい感じだ。よし、後ろについて行くことにする。この人のペースはその時点の自分のペースよりも少し早く、しかも安定している。ギアチェンジするなら今だ。呼吸はすぐに荒くなったが、それでもまだ大丈夫だ。10km地点、タイムはそんなに悪くはないかも?
次第に流れが遅くなって、前半に飛ばした人がペースダウンしてきた。アップダウンが多いコースなので、後半になればなるほど、足の疲れがひどくなり、前半に筋力を使いきってしまうと、後半、ガクッとペースが落ちてしまうのだ。息が苦しいし心拍数も上がってるが、まだ自分の足は動いている。もちろん、一瞬にして抜いていく元気なランナーも多数いるのだけど。
白髪のベテランさんと抜きつ抜かれつを繰り返す。登り坂で追いつき、下り坂で抜き、平らになったところでまた抜かされる。フラットなコースではベテランさんには敵わない。完成された腰高でストライドの広い走り方、あんな走り方は自分にはできない、だいたい、あの筋肉の筋繊維が浮き出た細い脚はなんなんだ、どういうトレーニングをしているんだろう? しばらくすると、ベテランさんに追いつけなくなってくる。自分のペースが落ちているのだろうか? そうかもしれない、脚が疲れてきたんだ、ペースを落とそう、いや、ついていくんだ、ベテランさんは少しずつ少しずつペースを上げているんだ、せめて早稲田の坂まではついていこう……そんなことを思いながら、確実に着実に圧倒的に、引き離されていく、うー、くそぉ、残念だぁあ、でも、たいしたもんだ、ベテランさぁああん。
10km過ぎるあたりは、抜いたり抜かれたりでけっこうおもしろい。所沢のマラソンは自分に合ってるかもしれない。サッカーの青いウェアで走っている青年とも前後して張り合って走っていたが、しばらくすると青シャツ青年は遅れだして視界から見えなくなった。沿道の応援にきちんとお礼を言う礼儀正しい青年でなので日本の未来は明るいと思った。そのほか「代々木アニメーション学院空手部」というシャツを着て走ってる青年もいたが、代アニで空手部でハーフマラソン走るというのは、どういう人間なのだろうと、ちょっと興味が湧いた。
早稲田の登り坂、昨年は呼吸が苦しくて仕方なかったが、今年はコースがわかっているから気分が楽になって、それほど辛いという感じは受けなかった。昨年と違うのは、最高標高地点で、脚が酸欠になってしまったこと。登り坂で脚が酸欠になって次第に動かなくなっていく様子が、妙に客観的によくわかるのだった。どういう状態なんだ、このまま脚が止まってしまう!? あれ? 攣りそうなのか? そりゃまずい。なんとか最高地点まで脚が動いて助かったけれど、そこからの下りは脚が動かなくて転びそうになる、脚がダメになっている? 重くてダルイ、乳酸でいっぱいなんだろうか? 昨年はここから駆け下っていけたのだけど、今年は無理なのか。復活してくれ、頼む、エンストした車が坂道を降りていくような感じだ、エンジンかかってくれ……未舗装の坂道をダラダラと下っていくが、復活しない、今年はやはり無理か……。あれだけ身体を動かしているのに、手指がかじかむほど寒くなってくる、血液が全身に回っていない。こんな状態で無理に下ると、カカトや膝を壊してしまいそうだ。
しばらく下っていくと、急に脚が暖かくなってきた、そして軽くなってきた。脚にモーターが付いていて、走るパワーを下りで充電しているような気分だ、あるいは、余計な筋肉ブレーキを使わずに酸素を貯金しているような気分、これなら大丈夫だ、ということで、加速を開始する。どうせフラットなコースではスピードないんだから、下り坂を使うしかない、下りは位置エネルギーを運動エネルギーに変えるだけでいいはずだ(理論上)、自分がボールだと思えばいいのだ。黒目川の市場坂駆け下り練習?と、今年の山岳ランに挑戦して膝の周辺が強化されたおかげか、ここでかなりの人数を抜いた。
昨年の記憶だと、坂を下ったら球場のFINISHは近いように思っていたのだけど、下ってからが長かった。4km、3km、2km……フラットなコースになって脚が動かなくなってきた。ペースもガクっと落ちているだろう。下り坂で調子に乗って脚を使いすぎてしまった。下り坂で抜いた人にまた抜かされていく。西武線と平行する緩い登り坂では案の定、ひどいペースダウンになる、ドーム球場が見えているというのに、もう脚が思ったように動かない。うわぁ、昨年と同じだ。
球場に入る登り坂手前、左折する寸前で、赤のランニングを着たベテランのランナーに抜かれる、あぁ、下り坂の途中で抜いたのに! ドーム前でまた抜かれるとは! ついていくんだ、離されるな……うぅ……無理だ、脚が動かない、苦しい、だめだ、これ以上はついていけない、なんという坂道スパートなんだ! ベテランを追いかけるのを諦めると気力が萎えてさらにスピードが落ちてしまう、ドーム球場のゲートが見えているのに。さらに自分を抜いていく人がいる、青いシャツ? あ! あれ? サッカーウェアの青年か?
早稲田の坂の前で抜いたはずのサッカーウェアの日本青年がドーム球場ゲート手前で自分を抜いて猛ダッシュしていく、そうか、西武線と平行する緩い登り坂で追いついてきたんだ。最後の最後で抜くという作戦か! もう間に合わない! うわぁ……これで終わりか、FINISH……じゃないぞ、そうだ、人工芝の球場内を半周するんだったよ、忘れていた。
ラストチャンスだ……急に思う、青シャツさん勝利を阻止しよう、抜き返すんだ! 赤シャツベテランに抜かれ、青シャツ青年にも抜かれたら悲しい。姑息かもしれないがFINISHライン手前で抜き返そう。ともかく気づかれてはいけないのだった。彼は今、自分を抜いたので、少し気持ちが緩んでいる。若いから、気づかれたらあっという間に加速して追いつけなくなる、だから真後ろについて歩調を合わせる、人工芝だから靴音もしない。FINISHが前に見える地点までついていってから抜くんだ、相手が抜かれたことに気づいた時点で抜き返すのを諦めるぐらいの加速が必要、できれば大きく横に出たほうがいい、気がつくのを遅らせるんだ。球場内の人工芝はやわらかく、使っていない脚の筋力がまだ使える。少し離されたが、再び追いついた、後ろについていく。
でも、圧倒的に加速して抜いていく力は残っていなかった。トラックとは違う、FINISHまでの距離はほとんどなかった。人工芝を蹴って最大加速したつもりが、単に横に並んだだけ。あれれ? まずい……青シャツ君を見ると彼もこっちを見ている、顔を見合わせてしまった。急加速する青シャツ君、うわ、負けるか! こちらもさらに加速、いや待て、FINISH手前でがんばり過ぎてそのまま倒れて救急車に乗るのはいやだな、と一瞬思う、無理か……脚が疲れていたのか、それ以上の加速はできなかった。ところが、身体半分ぐらい先にFINISHラインを通り過ぎたのは自分のほうだった、やった、作戦成功だ……? なんだかなー。まぁいいか、抜き返したし。それにしても疲れた……
後で冷静に考えるとラスト1kmでの落ち込みがひどすぎた、今年も登れなかった富士登山競走の最初の10kmの登り坂を思い出した、そうだ、連続する緩い登り坂での練習が不足している、これは重大な課題だ、来年7月までの課題として練習しておかないと。そうでないと、富士山「8合目」まで登って降りるという行為を毎年続けなくてはならない、そんなのいやだ。
タイムは1時間38分49秒(だったと思う、記録の数字は速報掲示板を見た時の記憶)。40〜50歳代の同年代のなかの順位は、中間ぐらいだった(昨年は300人中、100番台よりも前だったから、順位は落ちたかもしれない)。昨年よりは2分近く短縮できたけれど、自分はまだ甘いんだろうな、と思う。自分よりも年上で、もっと脚の速い人がいくらでもいる、少しがっくりするけれど、感心もする。自分はベテランのランナーの走っている姿が素直にかっこいいと思うし、そういう人になりたいのだと思う。
帰りは走る会の人たちと合流できて、昨年同様、完走打ち上げができてよかった。
12月4日 ハーフマラソン 21km
12月合計 48km