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[ 6-山とある日 ] |
年末年始の北ア明神岳5峰南西稜の記録(敗退)。
◇登攀者 ゴント(単独)
◇日程 95年12月31日 晴れ 明神岳南西稜〜5峰手前の台地
96年 1月 1日 飛雪/晴れ 4峰ピストン〜上高地
◇記録 12月29日には入山。
入山時の中ノ湯ではラッセル泥棒の単独無謀登山(?)と思われたのか、盛んにお茶を飲まされる(うまかった)。
12月31日03時40分、星空の下ヘッデン点けて出発。30日に確認したトレールは新雪で消え、ワカンでのラッセル股下。南西稜に出る急な樹林帯の手前でワカンをはずし、ひたすら高度を稼ぐ。
ヘッデン消す頃には西穂の稜線が真っ白に輝いていた。途中でエスパース見るが寝ているもよう。南西稜自体は急傾斜の樹林の中の尾根。上部では風成雪のラッセルとギャップへのフリー下降で時間がかかる。標識が要所要所にあり持参分は付けなくて済む。雪壁状のところを抜け、よれよれになって強風吹き荒れる5峰台地へ。別の尾根(奥南西稜?)からの2パーティを追いかける形で二重山稜状の窪地でサイトと決める。14時30分。
北アルプスの冬の稜線は初めて。風の洗礼は強烈だった。テントの中に入ったはいいが激しい揺れ。小物が踊っている。他のテントは位置がよいのか、あまり揺れていないのに! 現在位置より風の弱いところは見あたらないので動かせない。夜間も風は止まず、シュラフのなかで縮こまる。ポールがはずれて直す。降雪あり。またポールがはずれるが、折れるといけないのでそのままテントを傾けてバタバタさせておく。1時間おきに時計を見てウトウトしていたら朝になった。
1月1日、天気・飛雪。太陽がときどきパッと現れる。緊張のため疲れは感じないが、下降時のラッセルもばかにできないし、このまま主峰まで行って下降できるか気になる。他のパーティは停滞らしい。行けるところまで、と決めて、出発07時15分。強風止まず、5峰を巻きぎみに進む。十数年ぶりに(?)耐風姿勢をとらされる。ヨロヨロとしか進めないしゴーグルに雪が入ってきて困る。主峰までは時間がかかりすぎるとみて、4峰頂上で引き返す。
下降は昨夜の降雪と風でトレール消え再びラッセル。尾根の分岐を確かめながら降りていくと風がほとんどなくなる。下から3人パーティが上がってくるし、案外すんなりと岳沢入口まで降りてきてしまった。13時30分。主峰登ってくるんだった、と思ってもすでに遅し……蒼空に映える明神を振り返りつつやわらかな陽射しの上高地へ。