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<<練馬で真夏日    砂漠の雨>>
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2006年05月02日

チビットハンマー

[ 8-アフォリズム ]

>背中のように冷たい星で

夜の空にキーボードを逆さに吊るした

手の届かない光が眼に届く
後ずさりながら放たれた光が
逃げる眼にかろうじて届くのはなぜか
決して出会わないことが約束された
意味をなさない 紅いざわめきが

星の数と同じだけのキー 人を吊るす

星は人を座らせ人は星を座で見る
彼らとの婚姻が彼らを生む
星は人を地平に生みだし人は星に届かずに消える
遠ざかるバックグラウンド

砂の数と同じだけ人は背景に放射された
背中のように冷たい星で

>未来のポップアップメニュー

I have a bit set for me.
I just need one bit from me.
(やぁ、時に君、ちょっといいかい、あのことさ、
 どっちなんだい、すぐに答えてほしいんだ)

西暦2000年00時00分00秒に騒ぎだす前に
ゴッホの耳がささやいた

未来
他者
どっちでもない未来
真偽は追憶の名詞
割り当てられた過去をトグル
保つために混乱する

君のアドレスに未来の耳たぶを

>架線ゴーレム

方位時針がぐるぐるとまわり未来が近づいた
夢のなかでがりがりと関数計算された言葉たちは
レゴでピラミッドをつくった
墓室には不法投棄された言葉のミイラが安置されている
近づけば近づくほど ピラミッドは巨大になり
崩れ落ちたレゴが太陽風に吹かれて舞っていた
そこは自由電子の砂漠

叫びが轟いた
架線ゴーレムが墓室から浮上する

真偽地図を踏み越えて
沈黙地平線に碇を接続し
意味の始点は波うち

架線に綱引く 無名のレゴたちをひきずったまま
漆黒に どう と 倒れる とき

方位時針は君をさす


>プログラマブル台場少年

暗室試写について<

 映写機は宣言された
  もし 25から28までなら
  繰り返し撮影する
 
   25コマ眼 銀塩台に立つ
   26コマ眼 義眼 主語を着る
   27コマ眼 破り撮られる太陽
   28コマ眼 億千万の瞳哭が閉じる
  
  そうでなければ
  映写機を閉じる
 繰り返し
 
 24コマ眼に
 25コマ眼のナイフが西から昇るとき
 
 映写機に宣言する
  もし 26に義眼の術語がなければ

  映写機を東の太陽に開いておのおのにして
 
   26コマ眼 黄金の時に輝く
   27コマ眼 銀塩の柱に億千万の裸眼 咲く

  1コマ眼をナイフに移植する
 映写機を名称未設定にする
以上


>夜間鉄塔2____初めて終わり、始まる日に

言いたいことは言い得ただろうか
言い得ぬことは言い得なかっただろうか

怒りの曼陀羅は肩口から軋む
寂れた遊園地の観覧車のように
始発も終電もなく廻り続ける
偽造されたイドラの加速器から撃たれた影が
一張羅のアインシュタインの背広を裂く
螺旋痕跡群分割式は不等号で契られている

なにも始まらないし終わらない日が
また始まり、終わるまでの時間
ベージュ色の血で描く盲目の意味は
私たちの原子を砕いて渦巻く

メールシュトロームの夜間鉄塔に歩哨がひとり
針のように立つ

あなたが遠くへいってしまう日
私たちは戻ってくる
なにもかも始まりすべてが終わる日が、
初めて終わり、始まる日
私は鮮血の光となって歩哨を撃ち抜く

>畑星探査行

小さな足跡が数分で埋もれてしまう風に向かって
どこに続いているのかわからない畑は
火星の干涸びた運河の堤防
終わった命たちを土に返している
冬終わる雑木林の西の向こうへと続く畑は作物もなく
乾いた土は巻きあがって地平線は30度まで朱い
遺跡調査部会が確認したこの街の縄文遺跡分布図に
マークされていない遺跡に
越えていく台地の上に
縄文土器の破片が今日に限って散らばる
午後 曇天 ビニール袋はポケットに五枚あって
まっすぐ下を向いて歩く目のまわり 鼻の穴 口のまわりに
黒い意識は集まり 風が人を人の終わりへと
吹き流そうとする まえに
足を交互に前に置き 自分の影をたなびかせて
関節を凍らせてもなお立ち止まり
ここにはないはずの石を拾っては捨て
人は夕暮れがきたのに気がつかない

>畑星探査行-2

コンクリートデザートのひび割れた赤土に砂走り
唸る送電鉄塔下の風紋を崩して時の地平線に近づく
小さなつむじ風の向こうに 直観が先まわりする
古い時代の嗅覚が獣脂の焼ける臭いをかぎわけた
ここになければ どこにもない
そういう場所に 引き裂かれた時の破片は
5000回目の冬に 誰かを私にさせようとする

風は止まる 時もまた
夏のような氷雲が群れ集まり
鈍色の赤光をこだまさせ いずれくるだろう

目を閉じて50歩 足元に触れる
風を抜かれたささやかな欠片たち
人となるまえの 人のあとのかたちに
人となるまえの 人のあとの心が溶ける

繊維質の健康でもろい土器片は
耕耘機の刃先で新しい紋様を刻まれている
それがためにいずれ形を失う7000年の積分は
自宅の押し入れに眠っている
西方の谷を越えた台地には
1000年のニアミスで出会わなかった兄弟がいる

膝で歩くと見える 時のしじまが
ねじれた暗黒を包含するガラス片
人によって運ばれた火山の痕跡は西北からきた
虹色の爪のかけらは北の海辺からきた
私にはわかる この地がどこにつながってきたのかが

膝は知る 知らない紋様を
荒々しいアルミ酸化物に押されたささやかな縄の回転線は
人の生から切り離された沈黙に話しかけている
ありえないことはありえなかったという秘密は検証され
東へと散らばる沸騰点が近代的なビニール袋に回収された

どこにいるかわからないがいついたのかを教える
火山の痕跡の形はどこか そう問うとき
凍ったブリキの 気絶した磁気が
砂の雨を降らせはじめた

>春先のコーヒー

ファスト・フードのコーヒーを飲んだ

右隣のネクタイはアタマを抱えている
左隣のスーツはなんどもなんども
電卓を叩いては溜息をついている
右隣のネクタイは営業ツールの
パンフレットをバラバラとめくり始めた
左隣のスーツはタバコを
バカバカ吸って目をつぶっている

アタマを抱えて電卓叩いてパンフレットを開いて
タバコを吸って目をつぶって
気がついたら2000年になっていて 同じ味で

小型携帯コンロで湯を沸かして
雪洞の中はロウソクでほのかに明るくて
眼鏡が曇って
インスタントのコーヒーで春を迎えたい

それはうまいのか

Posted by gont at 2006年05月02日 03:56