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2006年01月17日

再読作戦3-安部公房『砂の女』

[ 1-本とある日 ]

 [生と死]の再読作戦も第3回を迎えた。
 昼夜兼行、図版制作の突貫作業をやって一息つけた。ははは、妙に疲れたぞ。オレは読む、読むぞ! それで、おもむろに


安部公房の『砂の女』

を読む。
文庫ですけど、装幀がよいですよ(新潮文庫、54刷)、カラスの影が美しいので、思わず買ってしまった。内容、忘れてる……蟻地獄状態で逃げられない話、っていう記憶しかなかった。浪人の時に、駿河台の下の古本屋で立ち読みしたことは確かなのだけど、安部公房で思い出すのは……立ち読みで貧血気味でフラフラしていた、という記憶のほうが鮮明なのだ(^^ゞ

  で、めっさおもしろいやん。安部公房、なんで学生のときに全部読まなかったのだろう、と思う。やっぱ、貧血で印象薄かったのが原因か、それとも金がなかったからか。昼飯代抜いて古本探して立ちくらみなわけで……BOOKOFFにでも行って文庫を漁ってこよう、などという思考は、当時も今もあまり変わっていないということなのだけど、貧血には強くなったな。
 『砂の女』の話、自由が担保されるには……○○という条件さえクリアしていれば、なんて読み方をしてもいいのだろうか、それじゃ、実用書の読み方だ。なんだか、労働についてあれやこれや考えてしまうオレがいる。希望、烏とくれば……創世記の冒頭、ノア、砂というより、水……となれば……あれやこれやと……。
 ところで……「汚れた風景や人物の描写」が続くのには辟易する。遠藤周作もそうなんだけど、そのような描写をするのがブンガクっぽいから、みんなそのような描写を入れたがるのか、それとも「存在の疲れ」を表現するための枕なんだろうか。あるいは、当時の普通の描写に過ぎないのだろうか。高度成長を続けていた時代は公害にさらされ明らかに世界が汚れていたのかもしれないが、現在があまりにも潔癖症の世界だから当時の生活感を汚く感じるだけなのかもしれない。それが当時の、時代の空気、ということか。
 さて、次は何を読もうか。読むには、時間を作らなければ。時間……

Posted by gont at 2006年01月17日 02:25 | TrackBack