偶然の音楽と疾走について

偶然、見たり聞いたりして好きになることは大事にしたい。それは偶然ではなくて必然、到来するものだから。
金曜の夜にテレ玉でアニメ『カウボーイビバップ』の再放送をやっていて、これを録画して見ているんだけど、稀に再放送をリアルタイムで視聴してそのまま次の番組を見てしまうことがある。やっていたのは『週刊バイクTV』。千葉テレビの長く続いている番組らしい。
そのOP曲「My Real」が気に入ってしまう。歌詞はよくわからないけれど、ひたむきに走る、その疾走感、走ることに内包された意味、その切なさが感じられる。80年代末っぽい感じもする。
気になってはいたけどすぐに忘れる。今日、また見て気になってしまい、ならばと調べてみると、vivid undressというバンドだった。

自分はバイクを乗らないのに、バイクのような疾走感のある曲にひかれてしまうのは、自動車整備学校を卒業してディーラーに勤めた友人の影響だろう。当時彼はナナハンを駆って遠くまで走りまくっていて、いろいろ話しを聞かせてもらった。そういう疾走感に満たされた世界に没入できる彼に羨望や嫉妬やら憧れを感じていた。彼は中学時代は陸上部で短距離はとてつもなく早かった。それに自分の弟も足が早く中・高と陸上部だったし、高校山嶽部の同期も中学では陸上部でともかく早かった。丹沢塔ノ岳から大倉への駆け下り競走で軽やかに飛び跳ねるように加速していくのを見て、思い知らされた。
疾走感への憧れというのがずっと自分のなかにある。
古い話になるけど、自分が高卒浪人で山にも行けず腐っていたときに、高校山嶽部OBの先輩がわざわざ自宅まで見舞いに来てくれた。彼の乗るオフロードバイクやヘルメットがかっこよかった。仮面ライダーみたいだと思った。ライダー、バイク乗りはかっこいいな。
ディーラーに勤めた友人はバイクで事故って休職となり、見舞いに来てくれた先輩は就職した先の九州で雲仙普賢岳の噴火への対応に忙殺され体を壊して倒れてしまった。そして弟も。
疾走してくれよ。憧れの君たち。
自分が中年になってから鈍足なのにランニングをするようになったのは、その憧れのせいかもしれない。

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魔法はないから
息絶えるまで走るよ
嘘をついたら
そこで終わりだから
負けないで 逃げないで
My Real
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(vivid undress「My Real」より。kiila作詞、yu-ya作曲)

こういう曲です。
「My Real」@vivid undress