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<<荒川を見て戻る 今日の黒目川−雨降りが続く>> |
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いつものごとく、夕方にジョギングに出かける。暑さ寒さも彼岸まで、涼しくなったもんだ。しばらく川沿いの歩道をタッタカ走っていくと、お婆ちゃんが一人、葛の葉っぱを採って何かしている。通りすぎてから、自転車で併走している連れが「お婆ちゃん、靴下しか履いてなかったよ!」と。えええ? そりゃまずいやんけ。足元までちゃんと見てなかった。急いで戻ってみると、白い靴下のまま、歩道を歩いているではないか。
「お婆ちゃん、裸足でどうしたの?」「どっから来たの?」「どっちに行くの?」……こちらの問いかけに、ニコニコと答えるお婆ちゃんだったが、さっぱり要領を得ない。うーん、徘徊老人決定か。でも、意識ははっきりしているし、戻るべき家の場所もわかるらしい。ここで放っておくこともできないし、警察に電話するといっても電話がない。となれば、連れていくしかないが、靴下のままで歩かせるというわけにもいかず、背負って歩く。これもトレーニングだと思えば……お婆ちゃんの話だと、自分が迷ってしまったことは分かってるのだけど、人に迷惑をかけたくないので、自分でなんとか道を見つけようと歩いている間に、さらに迷ってしまったらしい。気が付いたら靴も履いてなくて、仕方ないので、葉っぱを足裏に付けようとしていた、らしい。腕を見ると、何度も転んだ痣が残ってるし、徘徊にも年期が入ってるようだ。にしても、婆ちゃんけっこう重いじゃないか、ジョギング途中だったので、汗が額から噴き出してきた。しばらく歩いていくと……ここは通ってない、とのこと。えええ? 話しが違うやんけ、って、そんな文句言われても困るのはお婆ちゃんだろう、だって、わからんものはわからんわけだし。
あははは、万事休す。近くの公衆電話から警察に電話する。その間、歩道の縁石に座って、3人でジュースを飲みながら、世間話をして警官を待つ。話しはちょっと支離滅裂ではあるが、婆ちゃんにもいろいろな人生があるわけさ、というか、女性はどんなに歳をとっても「おしゃべりする人」なんだな、と思う。そこに警官登場、バイクで来るなよ、バイクで! まず、こちらが聴取を受ける。誘拐犯じゃないってば……次にお婆ちゃんだが、住所も電話番号もわからん、名前を聞かれても、お爺さんの名前を言ってしまったり、なかなか高度なギャグをかましてくれる。おまわりさん、困ってしまってワンワン、だな。
そこにいきなり、駆けつけた女の子「うちのお婆ちゃんです、探してたんです」と。あぁ、よかった。お孫さんらしい。すぐに息子のお父さんも駆けつけた、お婆ちゃんにそっくりなので、顔を見た瞬間にわかった、というか、似すぎててなんだか笑えた。いや、笑えないんだろうな、ご家族は大変だ……
こうして、お婆ちゃんのお彼岸大冒険は終わったのである。
さて……お婆ちゃん、お彼岸の日に、川を渡って彼岸に行っちゃいけませんぜ。爺ちゃんがあの世から連れに来たのかもしれんが、まだまだ、元気で達者で暮らしてくれ。それと、冒険するときは、電話番号を書いた保険証のコピーを持っていくといいぞ。息子に作ってもらえ。オレもジョギングする時は、小銭と保険証のコピーは持ってるから。どんな人間でも、いつ、ぶっ倒れるか、わからんのだからね。
Posted by gont at 2004年09月23日 20:32 | TrackBack