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<<ジブリのゲド戦記、仁侠魔法映画「仁義なきアースシー死闘篇」に    カルースト・グルベンキアンの伝記が読みたいのだけど>>
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2006年02月20日

映画『オリバー・ツイスト』

[ 0-日々のFLAG ]

(ネタばれ注意)
 字幕で70マイルが「10km」になってたと思うんですが…(見間違いかな?)…100kmの間違いでしょ?
 オリバー君が100kmに7日間かかった。軽くスルーされてしまうのだけど、それはとてもたいへんなことだと思う。
 100kmを走ってみればわかる。
 少年に残されたのは足だけだ。生き延びる道は100km先の都市・ロンドンだけ。喰いものなし、おまけに雨。子どもの足で100kmなら、大人の足で500kmぐらいの距離感だ、それがどれだけ遠いか……。
 田園風景とロンドンへと続く道、そのシーンが印象に残っている。分かれ道で少年はロンドンへと続く道を選択する。「そっちじゃない、こっちだ、反対の方角だ」と、映画を観ている自分が思う方向へとカメラが動き、少年もそちらへと踵を返す。カメラが事前に映している方角とは逆の方角へと選択する、それは、これまで選ばされてきた道とは逆方向へ行こう、自分で道を選ぶという強烈な(近代的ともいえる)意思を感じさせるものだった。
 彼は自分の選んだ道を信じた。ロンドンにさえ行けば!

 少年の最後の希望をつなぐ、自由の衣装をまとう19世紀のロンドン……。キリスト教的な権威主義の腐敗、科学主義の到来、資本主義の勃興、工業化、近代化……そこには新しい自由と富がある、はずだった。
 しかし、たどり着いたロンドンでは……階級闘争のまっただ中、名も無き乞食の少年は最下層であり、必然的に生き延びる世界は限られてくる。
 窃盗と盗品売買と阿片と酒と売春と強盗殺人と絞首刑。
 そうしたドン底から一転して富裕になった少年、その奇跡をもたらしたのが、神への信仰心であるというのは、かなり皮肉めいているのだけど、これもまた、辛酸を味わいつくした薄幸の少年にしかわからないことなのだし、何も持っていない当時の虐げられた子どもたちへの補償(救い)としての物語なのだろう。

 ディケンズと19世紀の時代については……

ディケンズ・フェロウシップ日本支部電子アーカイヴ 身体/社会の断片化と想像力- Our Mutual Friend -@松岡光治

ディケンズ・フェロウシップ日本支部 OLIVER TWIST


Posted by gont at 2006年02月20日 13:15 | TrackBack