出版幻想

幻想、これは自戒を込めた表現なんですが、「本を出す」ことに、実質以上の価値が置かれていて、それが今後、急速に萎んでいくのでは、という、話を書きたいのだけど、時間がないので、メモだけ。

薄々は感じていましたが、本の業界も大きな変革の時期に入りました。
出版(点数)バブルが終わるのを実感します。
佐野眞一氏の『誰が「本」を殺すのか』(プレジデント社、通称「本コロ」)の時代はまだ序章に過ぎず、でした。
この本の編集者から、書店を巡る状況の変化について、細かく聞いていました。
つい最近出た永江朗氏の『本の現場』(ポット出版)では、本そのものが、「希望小売価格」「非再版」と表4に堂々と印字する時代になりました。現状への一種の挑発行為で、とてもおもしろいことです。
金融危機の影響で自転車操業が回らなくなってきた、という側面があると思うんですが、それだけじゃなくて、今後は、本そのものの買い控えが起こる、という根源的な問題が発生してくるだろうな、と。
夏の終わりに政変が起こり、国内経済の無駄を徹底的に洗い出すことが始まったら、いかに日本の政治経済が弱体化しているか、白日のもとにさらされることになり、消費者は消費を絞り込み始めます。その結果、今までバブル的に刊行されてきた本や雑誌が本格的に買われなくなり、再販制で本を出し続けていくことでなんとか自転車操業を続けてきた各出版社は、本を出し続けること自体ができなくなって、そのままでは縮小均衡せざるを得なくなっていく、ということです。これまでのビジネスモデルが維持できなければ、出版社、取次、書店を巻き込み、本づくりから本の売り方まで、変えていかなければなりません。これまでは、ゆっくりゆっくり壊れてきていたのですが、急速に加速する、そう思います。
今、それが起こらないにしても、近い将来、そう、消費税増税が行われる時には、たいへん厳しい事態になるでしょう。
これに伴い、今まで出版の世界を支えていた、出版することの価値への過剰な幻想もはがれ落ちていくのではないか、と。
よい意味での正常化、普通の商売になる、ということです。
幻想といっても、よい意味での希望まで削れていくのは止めたいと思いますが……
いずれにせよ、自分の仕事も大きな影響を受けるわけなので、本格的に出版の仕事の中身を吟味して、未来へ繋がる新しい出版を考え、実践していかなければならない、と思っています。
自分もどこかに、幻想のぬるま湯に浸かっていた部分がある、その湯からあがって(おそらく秘湯?)、荒野を走る、と。
もちろん同業者、お取引のある出版社には、時代を超えて生き残り、よい本(コンテンツ)を必要な方に迅速に届けられる仕組みの構築をお手伝いしていかなければならない、と思っていて、その仕組みの構築は、ほんとに、急務であると思っています(要請されてるか否かは別として、ここに自分のビジネスがある、自分の力が必要とされる、と思っているわけです)。

といった話をもっと数字を交えて書いていきたいのですが、まずは実践ありき、なので、しばらくメモして寝かせておきます。